ニチコン株式会社(代表取締役会長:武田 一平、本社:京都市中京区、以下「当社」)は、急速充放電が可能で、長寿命かつ安全な小形リチウムイオン二次電池「SLB シリーズ」に、使用温度範囲が-30℃から80℃までの高温耐久品を開発し、市場投入します。なお、本製品は11月19日から21日にパシフィコ横浜で開催される「EdgeTech+ 2025」に参考出品します。
概要・開発背景
当社が開発した「SLBシリーズ」は2019年の発売以来、急速充放電、長寿命、低温特性、安全性を備えた小形リチウムイオン二次電池として、情報通信機器を中心に、累計出荷数が9,000万個以上となる同市場におけるベストセラー製品です。
近年、IoTやビッグデータが注目を集める中、それらを支える重要な要素としてリチウムイオン二次電池の必要性が高まっています。IoTデバイスはセンサーや通信モジュールなどで構成されており、これらを動作させるためには安定した電源供給が必要です。リチウムイオン二次電池は安定電源として最適ですが、IoTデバイスのデータ収集の継続性やメンテナンスコストを考慮すると、電池の寿命特性が重要となります。また、データを収集したい環境の広がりと共に、電池には極低温から高温まで対応できる広範な温度耐久性が求められています。優れた性能を有する「SLBシリーズ」に高温耐久性能をプラスすることで、より多くの市場ニーズに応えることを目的に開発を実施しました。
特長
本開発では、従来製品の高温環境下での劣化メカニズムを解析し、電極箔および電解液仕様を最適化することで、高温耐久性向上を実現し、80℃環境下での充放電サイクル試験(20Cレート、放電深度100%)において、容量維持率80%に至るまでのサイクル回数を約19,000回まで増加させることに成功しました(直径8mm、長さ11.5mmで公称容量10mAhの製品)。
本製品は「SLBシリーズ」の使用温度範囲:-30℃~80℃対応の高温耐久品としてラインアップし、最小サイズとして直径3.3mm、長さ9mmで公称容量0.8mAh、最大サイズとして直径12.5mm、長さ40mmで公称容量130mAhまでの4サイズを揃えています。
「SLBシリーズ」の高温耐久品(80℃)は、屋外で使用されるIoTデバイスや産業機器、社会インフラ市場から求められる高温環境下での使用に対する市場ニーズを満たすことができます。また、常温環境下での長寿命化も期待できることから、デバイスのメンテナンスフリー化を実現し、社会課題の解決に貢献します。
仕様
| 型番 | SLB03090HR80 | SLB04150H020 | SLB08115H100 | SLB12400H131 | |
| 使用温度範囲 | -30℃ ~ 80 ℃ | ||||
| 公称電圧 | 2.1 V | ||||
| 電圧 範囲 |
最大充電電圧 | 2.5 V | |||
| 放電終止電圧 | 1.5 V | ||||
| 公称容量 | 0.8mAh | 2mAh | 10mAh | 130mAh | |
| 最大充放電電流 (Cレート) |
16mA (20C) |
20mA (20C) |
200mA (20C) |
2,600mA (20C) |
|
| 寸法 |
直径× 高さ |
3.3mm × 9mm |
4mm × 15mm |
8mm × 11.5mm | 12.5mm×40mm |
| 重量 | 0.2g | 0.5g | 1.3g | 9.2g | |
| 端子形状 | : | リード線形 |
| サンプル | : | 2025年10月より |
| 量産 | : | 2025年12月より |
| 生産工場 | : | ニチコン大野株式会社 福井工場 福井県大野市土布子第 4 号 24 番地 15 テクノロジーセンター内 (ISO9001, IATF16949, ISO14001認定取得) |
製品写真

小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」 高温耐久品
以 上
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